くだまきあーと

擬似よっぱらいOLがくだをまく、余生の日記。

コミュ障社会人1年目が最初にぶちあたる壁

 

こちらの記事はあくまでも経験談であり、自分の環境ではそうだった、ということを記していきます。主に、体育会系企業における人間関係のお話になります。実際には環境とか性格とか個々人の性質によって、自分がどのようになっていくかは変わっていくけれど。

今わたしは入社してからまる2年も経っちゃうんですが、ふと「あの時こんな感じだったなぁ」とやっぱり思い出します。2年目よりも少し余裕が出てきたからかな。それと、もう一つ。わたしの兄弟も、最近勤め始めたからです。ちらっと話を聞いていると、2年前のわたしと同じようなことで悩んでいるようで、懐かしい気持ちがふと湧いてきました。

 

2020年コロナ禍にわたしは入社しました。業界は金融、日系企業なのでそれなりに上下関係の激しい会社でした。わたしは体育会系だったわけでもなく、学生時代人間関係がうまくいかずになやんだり、大学4年時には鬱状態と言われ不登校になったりと不安を抱えながらの入社でした。世間はコロナでうるさく、当時からテレワークを開始する企業もほとんどでしたが、当時のわたしはそれについてはほとんど悲観しておりませんでした。大学生から社会人になったばかりでそもそも仕事のことなんてまるでわからず、社会人として大事なことなど知らんこっちゃ、という気持ちで。「まぁ、どんな環境であれいずれなれるでしょう」と楽観的でした。

これはコロナ入社か否かは関係なく、おそらく社会人1年目なら当たり前の感覚なんじゃないかなと思います。22歳で大学を卒業できた人は、高校生から大学生まで、多少の挫折はあれどそれなりに人生うまく行ってた人が多いと考えています。少なくとも10代後半から不登校になるなど、普通の道と異なる道を歩んだ人って少数派なんじゃないかな。わたしもいっとき不登校になりかけましたが、すでに就活も単位もほぼ取り終わっていた時期なので、逆に大学を卒業してしまった方がキリよく次のステップにいけたものでした。
だからこそ、「無敵感」「全能感」を引っ提げて入社してくる。日系大手金融だと特に顕著ではないでしょうか。学生時代の仲間と「俺ら明日からついに社会人なんだぜ、やだな〜」と愚痴るレベルで、あとのことは見えないから気楽に考える感じ。

わたしはあくまでも所属している会社のことしか知らないので、他の業界や会社がどうなのかは考慮せず書いていきますが、多くの日系企業では、全体研修というものがあります。そこで社訓だとか、オペレーションやその他事務の基礎事項だとかシステムの使い方、営業のやり方だとかを習います。
わたしは総合職なので、事務ではなく営業に配属となりました。研修は座学なので、ほぼ知識はないようなもの。研修後、現場で先輩から直接色々教えてもらっていきます。実際にそのように学び始めましたが、営業といえどある程度の事務、そしてお作法が必須であることは、自分にとって想定外でした。
配属されて真っ先に自分に要求されたのは「下っ端として振る舞うこと」でした。これはかなり上司だとか先輩次第だと思うのですが、わたしの上司や先輩は、古くからの金融マンらしく、上下関係に厳しかったです。朝から晩まで、細々とした雑用。例えば業界として当たり前なこととして、コピー機を10年以上は交換しないことがよくあります。ぶっ壊れてても宥めすかして使います。書類を多く扱うのに対してコピー機がこんな感じだからしょっちゅう詰まっているのですが、それをなんとか使える状態にするのが新人の役割です。たとえ接客中や大事な研修・会議であったとしても、「ちょっとなんとかしてよ」と言われます。今思えば、事情を説明すれば「仕方ないからやっておくね」くらいは言ってくれたのかもしれません。しかし当時のわたしはとにかく必死なコミュ障人間。仕事もできないし、言われたことすらも一度じゃ理解できないし、コミュ障だし、先輩に気を使えと言われてもわからないし、となると先輩にとても気後れしてしまいます。OJTの先輩から、定期面談で「褒めるべき部分もたくさんあるけど…」と前置きされながら30分延々とダメ出しされ、加えて人格否定されるのがしんどかった。元々先輩に気遣いしながらコミュニケーションを取るというのが苦手だったのに、ダメ出しされるとさらに自分が足手まといで嫌われていると思ってしまってうまく動けなくなってしまいました。こうした雑用がスムーズにできず時間がかかってしまい、先輩からいつも小言を言われ、ストレスがどんどん溜まっていくと同時に「自分はダメなんだ」と思いました。

仕事を覚えるのも大変でした。わたしのいる会社の営業職は単純な商品を販売する営業スキルのほか、ある程度の事務スキルを身につけないといけません。これに加えて、詳しくは書きませんがマルチタスクができるぐらいの余裕が必要。商品やサービスの勉強は簡単なんですが、事務はどうしようもありませんでした。「そのオペレーションをするにはこれとこれが必要で、マニュアルには単純なこの処理のことしか書いていないがこれだけでは足りない。その場合、マニュアルはこれとこれを見ないといけない」ということが多々。しかもマニュアルには載っていない「事務に関する独自ルール」というものが設けられているパターンもあり、それが支社・部署・担当者単位であったりするもので、下っ端のわたしはそれにものすごい引っ掻き回されました。マニュアルに書いてあることは自分で対処できるぐらいになっても、流石に独自ルールは知りませんので、わからなくて尋ねるとブチギレられるので、聞くのをやめました。

 

コミュ障は自分の知りたいことを適切に聞くことができず、気を使った言葉遣いもできません。学生時代は子供みたいなものである程度許されました。また、責任感も伴わず環境も簡単に変えることができるのでもう少し気楽に考えることができました。
社会人はこうしたきめ細やかなスキルが必要だと学びました。他人を不快にさせず、むしろ気を遣っている感じを醸し出し、言いたいことを適切に伝える。「頑張っている風」「やっている風」を演出する。なんでも反応よく行動し、なんでも素早く済ませる。これができれば文句ないのですが、コミュ障は大体他人と関わるだけで大変なストレスを感じ、エネルギーを消耗するので、上手にできないと思います。気心許せて愚痴を言えるような同期がいればいいのですが、いないと地獄です。

わたしは1年目の時、ひどくストレスを感じて病んでました。パワハラもカスハラも当たり前にあり、業務後も仕事をするように言われて頑張っていました。しかしそんなわたしを励ましてくれる人は当然いませんし、褒められず延々と否定される中で常にトイレで泣いていました。学生時代にあった全能感は入社後すぐにたちきえて、毎日休日でも自分を否定して過ごしていました。

金融やその他不動産関係などの新入社員は特に、早朝出社を命じられます。早いところだと7時前ですが、わたしは7時半前に会社にいました。
これが大したことないというか、単純に早朝出勤というだけと感じる人も多いんでしょうが、意外とこんな環境下ですと病んできます。なぜかというと金融業界のオフィスは基本的に超閉鎖的でほぼ窓がない傾向にあること、秋冬ですと特に、あたりが薄暗くてひんやりとしていて、鬱っぽくなるからです。
太陽が出ていないと、明るく開放的な環境でないと、人間は鬱っぽくなります。わたしはその傾向が顕著であり、学生時代も秋冬は学校に通うのがしんどかったです。就活はその点、3月始まりだったので助かりましたが。
また、その時期は入社してから半年ほど経つ時期でもあり、仕事はどんどん厳しく、先輩の目も厳しくなります。「今までは新人だったから言えなかったけれど…」と前置きされ、今まで言われたことがないダメ出しや人格否定も出てきます。上司や先輩はわたしがある程度職場に馴染んで、自分たちも含め周りの人といい人間関係を築いていると思い込み、ふざけてわたしの持ち物を隠したり、目の前で悪口を言ったりし始めました。コミュ障だから、当然周囲の人間に気を許した覚えはありませんが。

その時期、家でも会社でも「独り言が多い」と言われることが増えました。また、自分が傷ついていることや、周囲の思い込みでやるべきことをしていないと勘違いされることが多く、それを上司や先輩相手に直球の言葉で訂正していたら、「なんか怖い、怒っているの?」と笑われました。
独り言はストレスが溜まってメンタルがやられている時によくある現象です。わたしに限らず、人間みんなその傾向があります。言われたことで間違いがあったら訂正しないとずっと根に持ったように言われ続けるとわかったので、常に訂正をしていました。それも、全部「怖い」という言葉に片づけられました。
何が正解だったのか。今考えてもちっともわかりません。人間関係なんて全く築けていなかったから、周囲の人間の一言一句に苦しめられていました。コロナ禍で飲み会も交流会もないから、同期とおしゃべりする機会なんてごくわずかでしたし、上司や先輩と話す機会も限られていました。月1回設定される上司や先輩との定期面談も、何ができて何ができなかったか整理する場というより、常に人格否定される場になっていました。

その環境が少し和らぐきっかけが、1年目の冬にありました。
苦手な上司が一人いたのですが、その人が急に異動となりました。金融はとにかく人の流れが早い場所です。辞める人も多いですし、そうでなくても数年に一度は異動になります。上の人が変われば、その下も少し変化があります。その上司と一緒になっていじめてきていた先輩が「あの人苦手だったんだよね、異動してくれてよかった」などと言い出し、わたしに対する態度も変わります。
わたしはあまり知りませんが、人間の変化で環境が変わることなんてよくあることなんだと思います。金融の場合、それが顕著。先輩も不満や辛いことがあれどそれを乗り越えてきたのだと、なんとなくはわかっていたけれどやっとその時に実感しました。他人が自分の見えないところでしてきた苦労なんて知りませんから。今までされたことは許すつもりありませんし、なんなら日記に書き溜めていつか放出してやろうかとは思っていますが、少し自分の態度を変えて、謙虚に頑張る気持ちになりました。

 

2年目、3年目になっても辛いことはたくさんありますし、どちらかといえば劣等感の方が勝るようになりましたが、1年目と比べると格段に楽になりました。

というのも、2年目になって、同期が異動してきたからです。今まで自分が一人で担っていた雑務も半分こできるようになりましたし、愚痴も辛さも全てお互いに吐き出し、わからないことは一緒に調べられるようになりました。幸い、同期はクセがなく性格も素直なタイプで、コミュ障のわたしとも嫌な顔せず付き合ってくれるタイプでした。その同期に救われた場面はたくさんあります。

また、金融はほぼ確実に後輩が入ってきます。運が悪いと3年目になっても下っ端なんですが、配属人数の多い部署だと確実に後輩ができます。雑用の役割はまだありますが、少なくとも多少は楽になりました。
「そもそも雑用をやらすなよ」というのが他業界にはあるかもしれませんが、金融機関にとっては雑用も下っ端の仕事。逆に「それさえも気を使えなくて、仕事できると思うのか?」と問われる部分は多少あると思います。現場で覚えるために早い段階で実戦投入される割に、複雑な事務や営業があるために1人前と認められるのは先が長い業界です。雑用程度で音を上げているとあとで痛い目にあいます…。

それから、営業職なので、営業面での勉強がなくなったことは大きいです。今まで事務一本だった人にはわかりにくいですが、金融商材は法律改正や商品改定が著しく、数ヶ月単位でアップデートがあります。いま自分が気にすべきところはその知識のアップデートだけであり、商材についての大まかな知識やオペレーション、事務スキルは一度身につければそのまま使えます。事務も法改正の影響やシステムアップグレードなどで変わることは当然ありますが、そう頻繁なものではないですしね。それが気楽です。

 

今は3年目の若手ですが、この2年間で入れ替えが凄まじく、かなりの先輩になってしまいました。あれほどできなかった仕事も今は簡単にできるようになり、先輩から「頼りにしているよ」と声をかけてもらう場面も増えました。
前に書いた通り、まだ辛いことってたくさんあります。未熟で情けないと自分を責めがちです。でも、それは自分の問題。1年目の時に感じていた孤独感、辛さは自分一人では解決できないものでした。だってそもそも職場の先輩や上司と仲良くなかったからね。

しかし、金融界隈への就職であれば、かなりの頻度で異動があり、人間関係がリセットされますので楽です。合わない人がいなくなっただけで心が本当に楽になるし、一緒に仕事していた時は本当に嫌いだったのに、いなくなってからありがたみがわかることもあるのです。まぁ、金融にせよその他業界にせよ環境が変わることはいつか訪れるのだから、その時をしっかり待てばいいのではないかと今は思います。自分が新しい環境に行くのはとても怖いですが、実際は誰かが異動したり、新しくメンバーに加わったりすることの方が多いので、さして問題ではないですね。逆に辛くて辛くて仕方ない時は、自分が異動するほうがよりいい気持ちで異動できると思います。新しい環境にいる人がどんな人かわかりませんが、初めから新しくきた人にマイナス感情を抱いている人はそう多くないはず。

もちろん人間関係において何かされたから恨んでいる、という場合、その恨む感情はいつまでも消えませんが、当時の自分を振り返って自分の振る舞いに一切の問題がなかったのかは一度考えてみるべきだと思いました。入社時の自分があまりにも社会人を舐めすぎているということはあると思います。詳しくかけませんがわたしはそんな感じで、後輩もそんな感じでした。ちなみに同期も身に覚えがあるようです。やらかしはあるしそれは仕方ないが、自分の振る舞いがTPOに即しているか、謙虚な態度で、一生懸命な態度で見てもらえているかは「仕方ない」では済まされません。他人にどう見てもらえるかという問題はコミュ障にとっては一番苦手な問題ですが、それが自分の首を締めているのだから、開き直らずに対策をしなければなりません。いつまでも太々しいのであれば、どこへ行っても相手にしてもらえないので。

 

つらつらと長く書いてしまいましたが、端的にここにまとめると「時期を待つ」「環境に応じて自分の振る舞いを正す」ということなんじゃないかと。人間関係で壁にぶち当たると仕事もうまくいかないので、コミュ障は真っ先に潰れます。なので、人間関係を円滑にするという、一番高い壁を乗り越えねばならず、そのために努力をしないといけないと思います。まずは、TPOに即した態度を見せ、次に自分の一生懸命さをアピールすること。無表情で腰が重いタイプはその点を意識して直し、言われたことが辛いことでもなんとか立ち直すくらいの図々しさを持たねばいけないと思います。
社会人になって、丸2年。いまだに同じ会社で、絶対に自分には向いていないであろう営業職なんかに従事していますが、この会社で学んだことはとてもたくさんあり、今後どこへ行こうと自分の経験として生かしていけると思います。まだ20代、この会社でもこの業界でもやりたいことはたくさんあって、日々ストレスと戦いながらギリギリのメンタルで這いつくばって存在している状態。メンタルは日々危ないんですが、1年目の時よりもずっと気を抜いて仕事はできています。同じ会社、同じ業界に就職する人、正直他と比べてもめちゃくちゃハードなことを要求されることもままあるので大変だと思います。それでも頑張りましょうね。もしかしたら、1年もしたら、天職ではないかも知れませんがやりたいことがたくさんできるかも知れません。