くだまきあーと

擬似よっぱらいOLがくだをまく、余生の日記。

映画「レミニセンス」※ネタバレあり

 

仕事帰りに映画「レミニセンス」観てまいりました‼︎‼︎

 

wwws.warnerbros.co.jp


www.youtube.com

 

「夏目アラタの結婚」の際に映画「レオン」を観て以来、なんだかハリウッド映画に浸りたくてたまらなかったんです。でもいまやっているので面白そうなのがなかったので、ちょうど公開作品が切り替わるタイミングを見て映画館へ行ってきました。

 

あらすじ

舞台は太陽さんさん、温暖化と戦争の影響を受けた徐々に水没してゆくマイアミで、地主などの権力を持たない人間が這いずるように住まう場所。
主人公ニックは、同僚女性ワッツとともに過去戦争に参加していたことのある男で、大切な記憶に入り込み、幸せな夢を見せる仕事をしている。ある日、ニックの事務所に妖艶な美女メイがやってくる。父(祖父?)の歌を歌うメイに運命を感じ強く惹かれ、恋人の関係となるが、ある日魔性の女メイは忽然と姿を消すのであった。

 

感想

人や記憶がパズルのように、最後にカチリとはまる作品。賛否両論というかわりかし否定意見が多い気がする。雰囲気で言えば、「アップサイドダウン」と似ています。
制作が「インセプション」のC.ノーランの弟ジョナサン・ノーランで、監督はリサ・ジョイ(奥さんらしい)。世界観は水面を電車が走るなど、千と千尋の神隠しを意識していると感じる部分も。空撮かは知らないが、街並みをびゅんっと飛んでいくカメラワーク、春の木漏れ日に乱れる魅惑の女の金髪…映像はとても美しく、もっと見たかったなぁ。現実に則したSFチックの世界観で、細かい設定が小出しにされるが、そこまで難しい内容ではないので理解しつつ観れると思います。

 

メイは魔性の女らしく、ニックを愛しながらも秘密を抱えています。いきなり失踪してしまったこと、汚職警官や元同僚の発言などから、ニックは騙されているのではないかとずっと不審に思ってしまいますが、実際のメイはそんな薄汚れた女性ではありません。麻薬を盗むなど薄暗い世界で生きてきた部分は確かにありますが、それでもニックを愛し、子供を助ける慈悲深い女性でもあります。こんなディストピアでなければ、日陰ではなく明るい太陽の照る場所で生きていたことでしょう。しかしこの映画の世界はそんなに美しいわけではないのです。アンダーグラウンドで生きていたメイは、最終的に脅され続け薄汚い世界で生き続ける道のみしか選ぶことができず、自分に残った最後の良心を振り絞った末に亡くなります。ニックはその記憶を探り当て、メイの愛をはっきりと知ることになるのでした。
レベッカ・ファーガソンの魔性の女という役柄が描写薄いので、ヒュー・ジャックマン演じるニックが彼女のどこに溺れていったのか、それだけが薄っぺらくて心残り。もっと妖艶な魅力を見せつけてほしかったのですが…。そもそもわたし、クロエ・モレッツタイプの顔と夏目アラタの結婚の品川真珠の身体が好きなロリコンなので、ハリウッドでガンガン話題作に出演するレベッカ・ファーガソンの魅力がわからないんだと思います。美人好きにはウケるんでしょうね。ニックはとにかくメイにゾッコンで、何が何でも離さないぞ!みたいに駆けずり回るけど、わたしにはそこまでの魅力を感じませんでした。

 

過去の記憶の中で生き続ける人は幸せそうに笑っています。麻薬よりも中毒性のある過去の麗しい記憶に囚われて、ずっと夢の中にいるよう
メイはハッピーエンドが好きだったようです。しかしニックはハッピーエンドはありえない、幸せな物語には悲しい結末があると考えていました。メイはそれを聞いて、「それなら幸せの絶頂で終わればいいのに」と答えたのです。それを聞いたニックがメイに話したのは、オルフェウスの冥界下り。妻を振り返ったら二度と幸せな結末を迎えられないお話ですが、ニックはメイの希望に応えてハッピーエンドの物語として語るのでした。

メイを喪い、身を取り巻く環境にさえも頓着しなくなったニックが選んだのは、過去の記憶をなぞり、幸せな物語がずっと続くこと。それに対して、元相棒ワッツが選んだのは、自らの過去を償い幸せを掴む結末。
ニックの選んだ停滞の物語に拒否感を覚える人はいるでしょう。作中でも記憶は香水と同じようにほんの少しでいいと言われており、のめり込みすぎるのは良くありません。未来に向かって生きる人間にはまず、向いていない結論です。しかしなぜニックはその物語を選択したのか、監督はその結末で良しとしたのか、答えを探すのは難しいのですが、それだけ絶大な愛があったということなのかも。わたしは考察も感想も放り投げました。

 

世界観からSF期待すると後悔します、これはロマンス映画。何もかも「そういうもんだ」とおおらかに捉えて観ることをオススメします。そうして鑑賞してみると結構雰囲気のいい映画で、悪くはありません。